皆さんは、お金がたくさんほしいですか?
一般的にお金があった方が幸せだと思われておりますが、本当でしょうか?

就職先を決めるときに、給料は大切な視点です。
しかし、給料が異常に高い会社というのは、それなりの責任や業務量がつきものです。
今回は、働き方を考えるうえで、年収の多さと幸福度について考えてみたいと思います。





幸福度は年収上昇につれて低くなる

「幸福度」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
最近では、幸福度調査と言われているアンケートが行われている企業が出てきたり、世界幸福度ランキングというものも存在します。

ちなみに日本は世界で何番目に幸福な国だと思いますか?
2017年のランキングでは51位です。
微妙な数字で、もっと高いと思う人もいれば、もっと低いと思う人もいるでしょう。
ただ一つ言えることは、先進国が必ずしも上位に位置しているわけではないということです。

2002年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授が幸福度について研究を行っています。
研究によると、幸福度は年収7万5000ドルまでは収入に比例して増えますが、それを超えると比例しなくなるというものです。
最近の為替レートは値動きが激しいものの、1ドル110円で考えると、年収825万円程度の人が人間として最も幸せということになります。
年収が1,000万円、2,000万円の人の方が幸せに決まっていると考える人もいるでしょうけれど、個人的には的をえている部分も大きいと思います。

年収が増えても、手取りはそれほど大きくならない

年収が増えても幸福感を得られない理由の一つに、日本の納税制度が影響していると思います。
税金の基本的な考え方として、収入が大きい人からたくさんの税金を徴収し、収入の少ない人へ還元していくことが税金の大原則です。
その最たる例が所得税であり、所得税には累進課税が採用されており、所得が大きい人ほど税金をたくさん支払う仕組みが整備されています。

簡単に所得税の計算方法をご説明しますが、額面から必要経費として給与所得控除が減算され、個別の事情に応じた所得控除(配偶者控除、生命保険料控除、社会保険料控除など)を減算した金額に税率を乗じて納税額を計算します。
人によって細かい違いはありますが、ざっくり説明するとこんな感じです。

そして、肝心の税率ですが、課税所得金額によって大きく差があることが分かると思います。
住民税は全ての人に一律10%が課されるため、所得税と住民税を合わせた最高税率は55%(45%+10%)です。
課税所得が4000万円をこえる人、つまり年間収入が5000万円くらいの方になるとおもいますが、半分は税金で徴収されてしまうのです。
そこまでいかなくても、課税所得が1800万円、年間収入にして2000万円を超えてくると、税率は45%となり約半分しか手元に残らない仕組みになっているのです。

もちろん、給料から天引きされている金額は所得税と住民税だけではありません。
社会保険料も天引きされていますよね?
これも、収入が多い人ほど多くの負担を余儀なくされます。
つまり、稼いだら稼いだだけ、手元に入ってくるわけではないのです。

年収が上がるということは、責任が増えるケースが多い

年収が増えても手残りの収入は、思うほど増えていかないということはご説明したとおりが、一般的に年収の上昇に比例して増えると考えられているものがいくつかあります。
その一つが責任です。

年収が高い人と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
例えば、医者です。
医者はお金がたくさんもらえて素晴らしい職業だと思う人も少なくないと思いますが、医療ミスが起これば、患者の親族から訴えられることもあります。
なにより、人の体を扱う職業ですので、常に緊張状態が続く状態で仕事をしています。

また、弁護士も多くの人が憧れる職業ですが、弁護士にも大きな責任が常に存在します。
責任がゆえに、この人たちの働き方は尋常ではありません。
最近では働き方改革に乗り出している企業も少なくありませんが、弁護士事務所では徹夜、休日出勤が異常なほど横行している激務な仕事です。

責任が大きくなれば、必然的に業務量も増えます。
年収は上がれば上がるほど税金の徴収額が多くなるのに対し、責任の大きさや業務量は、年収が増える分だけ、またはそれ以上に大きくなってしまうことが珍しくないのです。

年収が増えれば出費も増える

年収が増えるにつれて、もう一つ増えるものが考えられます。
それが、出費です。

例えば、会社の役職者を考えてみましょう。
役職者になると、仕事を取ってこなければいけない立場になりますので、仕事を獲得するために、取引先との飲み会、ゴルフなど交際費は圧倒的に多くなります。
また、部内での飲み会の時には、多めにお金を支払いますよね?
手取りの収入はそれほど増えていないのに、部下からはお金をもらっているから当然と思われることも少なくありません。

また、収入が高ければ高いほど、いい住宅に住み、いい車に乗り、いい時計を付けている人が多いです。
収入が上がってしまうと人間という生き物は財布の紐が緩み、不必要なものまで買ってしまうものです。
家庭を持っている方は、子供を私立に通わせ、塾にも通わせるとなると、通常の人に比べて100万、200万も年間でかかるということはよくある話です。

それでも、無理のない程度に贅沢をしている分にはいいのですが、中には自分の収入を超えて贅沢をしてしまう人がいます。
だからといってその時には、生活水準をもはや下げることができません。
奥さんや子供からの無言のプレッシャーを受けながら、生活水準を下げないために馬車馬のように働くしかないという状況に陥ることも少なくないでしょう。




さいごに

いかがだったでしょうか?
最近では、出世したくないと思うサラリーマンが増えてきているようです。
給料アップと責任の負荷を天秤にかけたときに、給料は上がらなくていいから、責任や業務量を増やさないでほしいと考える人が多いということです。
確かに、お金をもらってもリスクと責任がそれ以上に大きければ、嬉しくないという気持ちは納得です。

そう考えると、年収800万円くらいの生活水準は非常に丁度いいのかもしれません。
収入はそれほど多くないですが、手残りはほどほどにあり、税金や社会保険料もそれほど高くなく、大きな責任もなく業務量もほどほどであることが多いでしょう。
しあわせに暮らすことを考えるならば、給料が高い就職先ではなく、給料はほどほどでも働きやすい就職先を決めることもありだと思います。